人間とガチャ
世界的にスマホゲームのガチャ形式離れが進んでいると聞く。
日本のゲームしかほとんどしない(というかスマホのゲーム自体最近あまりやらない)ので、ガチャ離れというのはあまり実感がない。
ただ、ガチャというシステムは企業の利益の源泉である一方で、なかなか深刻な問題を抱えている。
欲しいキャラクターなどを手に入れるのに、ゲーム内で有料のガチャを回すわけだが、
欲しいものが手に入る可能性は低くできている。そのため、何回も課金し、欲しいキャラクターが手に入るまでガチャを回す。実際にソーシャルゲーム(スマホのゲーム)をする際、何が一番楽しいかと言われれば、「ガチャを回す時」という回答がそれなりに多いだろう。
ギャンブル的な楽しみの要素はやはり強い。
もちろん、大人が余力の範囲でやる分には問題ないが、子供が親のお金を使い込んだり、あるいは大人であっても生活に支障が出るまで課金するのは問題があるだろう。
さて、このような「ガチャ」はなぜハマってしまうのだろうか。
そこには人間の性質がある。
「サンクコスト効果」という行動経済学の用語がある。
人間は、一度損をすると、以降損をいとわなくなるという性質だ。
つまり、一度お金を使うと、さらに躊躇なくお金をつぎ込んでしまうということだ。
わかりやすい例であればクレーンゲームなどがそうだろう。数回やって止めれば損害は少ないのに、数十回やっても結局取れず、ただ数千円だけを失うといったことはよくある話だ。
他にも、株で下落傾向にある銘柄を損切りできないなども同様だ。
人間は前提として「損を回避したい生き物」である。
例えば、100円落とした後に150円貰ったとしても、損をしたと感じる人の方が多い。
損失を大きく評価するようにできているのである。
ところが、その人間の仕組みは簡単に崩れる。
100円落としてしまうと、200円落とすことも厭わなくなってくるのだ。
この性質を知っていれば、ガチャで散財しすぎることはないだろうし、クレーンゲームも数回で終えられるし、損切りもできる。
経済学では「100円の損」は「200円の損」より「100円の得」と考える。
もちろん実際にはお得感はない。ただ、賢く生きるための知恵として、持っていて損はない知識だろう。
とはいえ、こんなことを書いている私だが、私もガチャで散財したことが何回かある。
知識を持っている私ですら、ガチャの魔力に勝てない時があるのだ。
ガチャをする際は程々に楽しく。自戒の意味を込めてしっかりとここに記しておきたい。